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基本書の果実

法律初学者向けにロースクール生が基本書について感想を述べていくブログです。

基本判例に学ぶ刑法総論・各論(成文堂、山口厚)

 

基本判例に学ぶ刑法総論

基本判例に学ぶ刑法総論

 

 

 

基本判例に学ぶ刑法各論

基本判例に学ぶ刑法各論

 

 評価★★★★★(星5)

 

ある程度刑法の体系が確立した人が判例を勉強するのにオススメなのが本書です。各科目様々な判例解説本がある中で、僕が一番好きな本です。刑法は学説の対立に深入りせず判例を中心に勉強したいと思う人が多いと思いますが、まさにそのような人向けに書かれています。他に基本刑法など判例中心本が出版されていますが、本書は判例が着目した事実が何かだけではなく、その判例が理論的にどう位置付けられるのかということも検討されています(僕は基本刑法を一時期使っていましたが理由付けが「行為無価値だから〜となる」などが多く、しかも井田先生などの現代的行為無価値論を全く扱っていないことから使用しなくなりました)。あまり周りで使用している人がおらず僕としては悲しい限りです笑。

以上のように本書をべた褒めしてきたわけですが、本書を使用する際に注意すべき点が2点あります。第一に、あくまで「山口先生から見た」判例であることです。時々山口説が顔を覗かせるのでこの文章よく分からないなと思ったら山口厚「刑法総論」「刑法各論」を読みましょう。第二に、出版年が多少古いことです。もっとも、内容は高度になりますが、「新判例から見た刑法」というこれまた素晴らしい本を山口先生はお書きになられておりますので新しい判例はそちらを読みましょう(本ブログの性質上上記の本は扱いませんが、特に詐欺罪についてはNO.1だと思いますので山口説、結果無価値論を採用しない人でもぜひ手にとっていただきたい本です)。

民事裁判入門(有斐閣、中野貞一郎)

 

民事裁判入門 第3版補訂版

民事裁判入門 第3版補訂版

 

 評価  ★★★★★(星5)

 

本書は民事訴訟法をはじめて学ぶ方におすすめする一冊です。

民訴は、難解な用語を用いて難解な理論によって構築されているため「眠訴」などと揶揄されている科目です。しかも、基本中の基本となる部分に条文がなく非常に勉強しにくい科目だと思います。

しかし、本書はそんな民訴を、身近な事例を用いて、また時には図表を駆使して、わかりやすく解説してくれています。著者は有名な学者で内容に信頼も置けます。民訴初学者はまず本書を読むことで民事訴訟法がどのような科目なのか把握すべきです。

ただし、民訴は「訴訟物」や「攻撃防御方法」(請求原因や抗弁といったもの)など民法とくに要件事実論を勉強しないと理解しにくい部分がかなり多くあります(例えば弁論主義は要件事実、既判力は訴訟物を理解していないと民訴を勉強してもわかったつもりになるだけです。私がそうでした笑)。ですので、民法より先に民訴の基本書を紹介しておいて申し訳ないのですが、まずは民法をある程度勉強してから民訴の勉強を開始すべきだと思います。

入門刑法学・総論各論(有斐閣、井田良)

 

入門刑法学・総論 (法学教室ライブラリィ)

入門刑法学・総論 (法学教室ライブラリィ)

 

 

 

入門刑法学・各論 (法学教室ライブラリィ)

入門刑法学・各論 (法学教室ライブラリィ)

 

 評価 ★★★★★(星5)

 

刑法を学び始めた大学生におすすめなのが本書です。行為無価値論のトップランナーである井田先生が初学者向けに書いた本です。刑法を学ぶ際には自らがよってたつ体系を確立しなければなりません。本書は一貫して井田流の行為無価値論(受験界でいう行為無価値論とは異なる部分があります)から刑法を体系的に解説しており、自らの体系を確立するのに大いに役に立つと思われます。高度な内容も含む本書ですが、平易な言葉で、しかも少ないページ数で難解とされる刑法理論を解きほぐしてくれます。個人的には大好きな本です。初学者の方は本書を何回も読み返すことで体系的に刑法を理解できるようになるでしょう。

 

 

 

刑法入門(岩波新書、山口厚)

 

 

刑法入門 (岩波新書)

刑法入門 (岩波新書)

 

 評価 ★★★★☆(星4)

 

基本書と言っていいのかわかりませんが(そもそも「基本書」に厳格な定義があるわけではありません。カッコよく見せるために基本書などという言葉つかっているだけではないでしょうか)、刑法を初めて学ぶ人におすすめなのがこの一冊。刑法学会の重鎮である山口先生が初学者向けに刑法とはどういう法律なのかを書いてくださっています。そのため、内容の信頼性は抜群でしょう。また、ページ数も少なく1日で読み切れるものとなっています。大学の刑法の講義が始まる前に刑法を知っておきたいという人におすすめします。本書を何回か読んで刑法の全体像を把握しましょう。

はじめに

本ブログはロースクール生が基本書について思うままに感想を述べるものです。内容については一個人の感想に過ぎないのであしからず。

最近は様々な基本書のレビューブログがあるなか、本ブログを書く目的は主に初学者に対してどの基本書を選択するかに関して情報を提供することです。気になった基本書を全て自分で読むことができればそれに越したことはないのでしょうが、時間的にも経済的にも限界がある以上取捨選択をしなければなりません。そこで、これから各科目の基本書を手に取ろうとしている初学者の方に対して基本書選びの参考となるブログを書いていこうと思います。